傍接円、傍心について
[中学生へ]三角形の外角の二等分線の交点を「傍心ほ(ぼ)うしん」といい、傍心は全部で3つあり、下の図で△ABCの傍心は点P、Q、R の3つです。1990年ごろの中学の教科書にも傍心という用語は出てきませんが、傍接円と接線の長さ〜が高校入試に出題される事が以前はよくありました。現在は「接線の長さ」などは高校の数学Aに移行して中学の平面幾何はヒジョーにサミシイ所があります。
△ABCの辺の延長線をいれて、外角の2等分線の交点は上のP、Q、Rの3っつある。これらを中心に円を書くと…



 
3つの辺(延長線)に接する円が3っつ書けて、これらの円を「傍接円」といい、中心P,Q,Rを「傍心」といいます 


[定理3]
[定理3] 三角形の2つの外角の二等分線と
他の内角の二等分線は1点で交わる
逆に、内角の二等分線と他の外角
  の二等分線の交点は、残りの
外角の二等分線になる。
 


 角の二等分線の交点は2直線からの距離は等しい〜という使い方をして、線分DBは、∠ABCの二等分をめざします。この定理自身は高校の数学Aの教科書(数研その他)の問題にあります。

[定理3の証明]
 
∠Aと∠Cの外角の二等分線の
交点をDとしてDより直線BA,
直線AC、直線BCに垂直な線を
下ろし↓図のようにE、F、Gとすると
斜辺と1つの鋭角が等しいから
△AED≡△AFD、△FCD≡△GCD
 以上から、DE=DF=DG 
 ここで斜辺と他の1辺から
△EBD≡△GBD,∠EBD=∠GBD
 また、逆も同様にいえます。





[傍心の角度の関係]中学のワークより

↓の問題は
  ∠A=64°の△ABCにおいて、
  ∠Bの二等分線と∠Cの外角の
  二等分線の交点をDとする。
  ∠BDCの大きさを求めなさい。
    〜という問題は
  中2の教科書用ワーク等によく
  ある問題です。解いたことのない
  人は一度解いてみましょう。
  もちろん、「傍心」は知らない
  ということで解くわけですが…
  まずは外角の関係から、
  2×から2○の差は64で… 


[傍心の角度の関係]

傍心Dと△ABCの内角の和から
 2b+(180−2a)+
     (180−2c)=180
    より、 a+c=90+b
 ∠ADC=180−(a+c)
     =90−b よって

 
∠ADC=90−∠ABC/2
   
 また、△ABC の外角から
∠ACB=2a−2b,△ABDの外角から
   ∠ADB=a−b よって

  
∠ADB=∠ACB/2 



[例題1]問題(30,30,20,80)

 [例題1の解答
△ABC の∠ABCの内角の
二等分線と、∠ACBの外角の
   二等分線の交点Dは
  △ABCの傍心 よって、
   ∠ADB=∠ACB/2
            =10°


       
答え 10° 



[例題2]問題(40,20,50,80)

 略
  △ACD の∠ACDの外角の
  二等分線がBCである。
∠ABD=∠ACD/2
このとき、点Bは△ACD
     の傍心になる。
BDは∠ADCの二等分線
    ∠ADB=∠BDC=30°

       
 答え 30°
  詳しくは下の補足に

 [例題2の補足]
 
△点Bより直線DC,AC,DAに
   垂線BF,BG,BH をおろす
   △BFC ≡ △BGC
   △BGA ≡ △BHA
   がわかり、このことより
   △BFD ≡ △BHD
   ∠ADB=∠BDC 
   BDは∠ADCの二等分線





[補足の補足]
 傍心で解ける問題は、垂線や外心で
 解ける問題も多くあるみたいです。
 この問題(40,20,50,80)は、
 △ABCの外心O をとると、
 四角形AOCDは円に内接する
 四角形になって解決します。
 ラングレーのページの「問題13」を
 参照してみてください。
 
[定理7]ラングレーB型〜
   
 四角形ABCDにおいて、
∠ABD=∠DBC=a 
 ∠BDC=e ∠ADB=f のとき
a+e+f=90
 を満たすならば、
点Dは△ABCの傍心である。



[定理7]のための補題

[定理7]のための補題 
    

   四角形ABCDにおいて、
  ∠ABD=a 、∠BDC=e 
  ∠ADB=f のとき、
  a+e+f=90 を満たすならば、
   △ABDの外心は 
       直線DC上にある。


上記補題の証明 

△ABDの外心を点Oとすると
円周角と中心角の関係から
 ∠AOB=2f 、∠AOD=2a 
 △OBDは二等辺三角形より、 
∠ODB=(180−(2a+2f))/2 
  a+f=90ーe から  
∠ODB=(180−(180−2e))/2 
      =e                 
よって、O、C、Dは同一直線上 
 △ABDの外心Oは     
       直線DC上にある。 

 

 [定理7]の証明
 BA,BCの延長上にF,Hをとる。
 上の補題から a+e+f=90 
 より△BDCの外心Oは
        直線AD上にあり、
 その中心角∠COD=2∠CBD
              =2a
     ∠ABC=2a から、
 4点 O、B,C、Aは同一円周上で
 ∠BOC=2∠BDC
      =∠BAC=2e
 △ABDの内角より、
 ∠DAC=180−a−2e−f
      =180−(a+e+f)−e
      =180−90−e=90−e
 ∠FAD=180ー2eー(90−e)
      =90−e
 ADは外角FACの二等分線
 同様にして
 CDも外角ACHの二等分線
 以上から、点Dは△ABCの傍心
 (f<aのとき、外心Oが点Aより
    右側の時も同様にいけます。) 


[例題3]問題(20,40,30,30)

[例題3]の答え
 ∠ADB=∠CDB 20+40+30=90 
 から、 定理7より、 点Bは△ADCの傍心
∠ACD=2∠ABD=40
  △BCDの内角より ∠ACB=70

        答え 70°
  

  定理7の証明から、
∠ACB=90−∠ABD  の関係があり。