婦人科 ご質問について
2012年1月23日に行われた長崎県介護福祉士会主
催複数事業所連携事業研修会において講演を行った際にい
ただいた質問に対する回答です。
お読みになるうえでの注意事項
質問の文章は原文のままではなく、一部省略していることもあります。
婦人科の疾患は年齢や出産経験の有無などで対処方法がちがうことがあり
ます。このため、そういった情報が記載されていない場合は、期待してい
る回答と相違があるかもしれません。
また、大変申し訳ありませんが、メールによる新規、追加の質問は受け付
けておりませんのでご了承下さい。
質問 | 回答 | |
1 | 毎月生理痛がひどく、仕事にも支障を来たすため痛み止めが手放せません。
痛み止めにアレルギーを起こすこともあり毎月悩みます。出産した病院で相談したことはありますが、痛み止めでとまるなら良いのではないかとのことでした。毎月痛み止めを飲む状態を続けて大丈夫でしょうか?血のかたまりが出るのも気になります。 |
婦人科で診察を受けておられるとのことですが、多くの場合、生理痛に 対しては痛み止めを飲むというのが第一選択の治療法です。また、ピルを服用すると痛み止めを飲まなくてすむ、あるいは減量することができる場合があります。この場合はピルを飲むことが適切かどうかの診察を受ける必要があります。かかりつけの婦人科の先生にいまいちどご相談されてはいかがでしょうか。
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2 | 生理が3ヶ月ほど続いていて、婦人科へ行ったら内膜症かもしれないといわれました。今現在は何の治療もしていませんが3ヵ月後にもう一度検査に来てくださいとのことでしたが、時々がまんできないくらいの腹痛があるときがあります。 | 年齢が不明なので、一般的なこととしてご説明します。子宮内膜症とは、その名のとおり、子宮の中にあるべき子宮内膜が、卵管を逆流しておなかの中に散らばり、そこで増殖をするために、生理痛や不妊症の原因になる疾患です。治療は鎮痛剤、ピル、手術があり、年齢、症状により選択します。子宮内膜症の特徴として年を追うごとに症状(痛み)が強くなることがあります。ですから、数ヶ月の間をおいて来院していただき、痛みの程度やそのほかの症状をお聞きした上で、そのつど治療方法を考えることも多いのです。そのとき症状がなくても必ず指示通りに受診されることをお勧めします。
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3 | 尿失禁の改善策はありますか? |
尿失禁には数種類のタイプがあります。ひとつは咳をしたり、大きな声を出したりしたとき、つまりおなかに力が入るようなときに思わず尿が漏れてしまうタイプ。次に、トイレに行きたくなると同時に漏れてしまうような感覚に襲われる、あるいは実際に漏れてしまうタイプ。そしてその両方が同時に起きるタイプです。 前者は薬物療法もおこないますが、体操が効果がある場合があります。改善しない場合は手術も選択されます。後者は薬物療法が主なものです。体操は長期間続けないと効果がありませんので更年期をむかえたら体操を習慣づけるのもいいかもしれません。
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腰痛がありますが、骨粗しょう症の予防のためカルシウム剤をのむことは有効ですか?もしそうであれば一日どのくらい飲めばいいでしょうか?
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骨は壊されては作られる。これを一生繰り返します。骨が壊れるスピードが速くなり
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5 | ひどい生理痛をやわらげる方法は?気をつけなくてはいけない生理の症状は? |
生理痛に対して鎮痛剤はお試しでしょうか?生理痛に対してはまず鎮痛剤を服用することが第一選択です。しかし鎮痛剤が効かないほどひどい場合は医師の診断を受けていただかなければなりません。
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6 | 更年期の初期症状について教えてください。 |
更年期に起きる体の不調のことを更年期障害といいます。 動悸がする、肩こりがする、などの身体症状から精神的に落ち込む、などの精神症状までさまざまで、どの症状があらわれるかは人によって様々で、きまった初期症状があるわけではありません。しいて言うならなんとなく疲れる、顔がほてる、厚くないのに汗がでる、などは多くの人にあらわれるようです。
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7 | 子宮頸がんワクチンを3回受けた後ワクチンの持続はいつまでですか? |
日本で子宮頸がんワクチンが承認されたのは2009年ですが、欧米諸国ではその7年ほど前に接種が開始されていました。その時点の統計では最低6年の抗体持続が確認されていました。現在引き続きその調査は行われており、さらに長期間の効果が期待されています。
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8 | 乳がん、子宮がんは遺伝しますか? |
がんは、遺伝子にキズがつくことによって発生します。この遺伝子は人をかたち作る設計図のことです。この設計図のキズは生まれ持っていることはまれで、何十年と生活しているなかで起きる現象です。「○○をたくさん取り込むとがんになるらしい」といううわさをよく耳にします。発ガン物質とよばれるものですが、代表的なものは放射線でしょう。食べ物でもよく言われますが、通常食べる量で遺伝子が傷つく可能性はありません。 がんに限らず、糖尿病や、高血圧など、家族内で多くの人が罹患するということは確かにあります。これは体質や、生活習慣を引き継いでの結果であり、遺伝というのとは違います。しかし、じつはご質問の乳がんですが、遺伝性のものがあるといわれています。 でもそれも乳がんの中のごく一部で、すべての乳がんが遺伝するわけではないので、ご家族に乳がんの方がいても、必要以上に恐れるのは賢明ではないと思います。 それよりも、生活習慣を健康的なものにしたり、ストレスを溜め込まないように工夫したりするほうが他の病気も防げてよいのではないでしょうか。もちろん、がん検診も定期的にうけてください。
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9 | 年一回の子宮がん、乳がん検診を受けていますがこれで大丈夫でしょうか? |
厚生労働省では、がん検診の頻度と死亡率ということで研究をしています。 つまりがん検診を一年に一度受けた場合と、2〜3年に一度受けた場合で死亡率に差があるか、という研究です。その結果、子宮がんも乳がんも2〜3年に一度でも死亡率が上昇するということはないことがわかりました。公費で行われる検診が1年のところと2年のところがあるのはこの結果を受けてのことと思います。 個人レベルで考えると、検診から半年でがんが見つかった、ということもあるかもしれませんが、1年に一回受けておけば、早期発見の可能性はかなり高くなると思われます。
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14年前子宮筋腫の手術をしましたがその後病院へ行っていません。 大丈夫でしょうか?
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子宮を摘出してある場合は子宮がんの可能性はありません。ただし、卵巣が残してある場合、卵巣腫瘍などの可能性は残っていることになります。婦人科での超音波検査では卵巣がはれていないかどうか見ることができます。子宮筋腫だけを取る手術を受けられている場合は子宮がん検診を受けるべきでしょう。
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